スペシャル対談

スペシャル対談

 

2023年12月22日 株式会社三幸 本社にて

元サッカー日本代表で、現在はFC東京のコミュニティジェネレーターを務める石川直宏さんをお招きし、組織としての目線、選手としての役割、あらゆる立場を知る石川さんと奥野社長が、価値の考え方、組織のあり方について語りました。

▼最初に奥野社長から見る社員の「成長」と「評価」についてお尋ねします

奥野 私が思う成長とは、現状維持から何か新しいことへ挑み、ステップアップしていくことですね。仕事に限らず、プライベートでもいいので新しいことに挑戦するという目標を立てて、それに向かって日々取り組む。そこがクリアできた時に成長したことが明確になるのかな。つまり、目標があってその結果が見えると、自分自身で成長をすごく実感できる。

達成感と充実感を実感できると、また次のステップアップに繋がっていく。

そういう思いを皆さんが味わえれば、それが会社全体に好循環を起こすことに繋がるんだと思っています。ですので、まずは現状維持という考え方を捨ててもらいたいですね。

 

それから会社での成長や結果における評価で、一番わかりやすいのは給与ですよね。年功序列という昔ながらの考え方もありますが、私の考えとしては年齢や社歴だけを重要視するのではなく、やはり実力。頑張った人や、結果を出した人に対しては、それなりの報酬を与える実力主義というところを、みなさんに伝えていきたいと思っています。

▼社員のみなさんへの評価方法をどう考えていますか?

奥野 部門によっては、評価方法が難しいところもありますので、部門ごとに目標を掲げ、それに対してどのくらい達成できたかなどを評価基準にしたいと思っています。

会社は営利団体なので、利益に繋がった結果が主になりますが、活動内容の過程や工夫も非常に重要だと考えています。

従業員が多くなってきた今、それぞれの部門責任者と自分との2段階評価も必要になってくると思います。

 

石川 サッカーでも評価の基準というのは、すごく難しい部分でもありますね。点を取っている人の評価はしやすいですけど、そもそもディフェンスでこんなにボールを奪っているだろうとか。なので、みんなが平等に見られていると感じられるかどうか。やはり全体を把握して、納得できる数値と関係性があるかどうかというのが、大事かなと思います。

▼石川さんがプロの時、評価がお金に値するという認識は強かったのでしょうか?

石川 契約形態があるので、最初は意識しましたね。私がFC東京に入ったのが2002年で、当時発展途上のチームだったので、自分はFC東京にいる、という存在価値や意義を見出すことができたんです。お金も大事なんだけど、自分がこのクラブに存在しているんだということが僕の中で一番幸せでしたね。人生の中では、もちろん仕事やお金というところがすごい大事だと思うんですけど、仕事とプライベートを分ける必要はなくて、仕事の中でも自分のやりがいを見出せて、なおかつ自分にとって仕事が生きがいになっていることを感じられる機会を作ることが、サッカークラブでも会社でも大事なことなのかなと思います。


奥野 そうですね。私もせっかくなら自分がやりたいことをやってみて、ダメだったら、またリセットしていく。人生一度きりなので、やりたいことをやってみたいなと常に思っています。それが単なる興味であっても、達成できたときは充実感を得られる。プライベートは仕事の延長線上ではないけど、それも含めて充実感のある人生にしていく気持ちが大事だと思いますね。

▼石川さんが考える「チームワーク」とは?

石川 活躍して海外に行く選手もいますが、まずはチーム、クラブで活躍しないとそこに行けない。今いるチームの理念を理解した上で、このクラブで自分を活かすためには周りを活かさなくちゃいけない。周りを活かすってことは、信頼が生まれて自分が活きることにつながる、そういう成長過程を理解できる選手の活躍はやっぱり早いですね。周りへの感謝、謙虚な気持ちを持ったまま海外でも活躍します。

一方で、今の現状や自分が活躍することだけに満足している選手は、結局活躍できず帰ってくる。そこの違いだと思うんですよ。もちろん、技術とか、先ほど話した評価のされかたによっても違いますけど、基本的には自分がその組織の中で、どう活かし、活かされているのかを理解している選手は、一つ一つのプレーの価値も変わるし愛され方も違う。いかにそういう選手を呼び、育てていくかということが、今マネジメントという立場として必要なことだと思っています。現場だけではなく、経営の方でもクラブの売上を上げつつ、そういう選手を育てる。これが一体感、チームワークなのかなと思います。


奥野 やはり信頼感なんですよね。お互いが信じられないとなかなかできないですよね。

 

石川 それは、試合に出ている、出ていないだけではなくて、そこでやり続ける。それをやり続けるということは、自分の夢や目標だけではなくて、今クラブとしてどこを目指していくのか、自分がどういう存在であるべきなのかということを、みんながそれぞれの立場で思っていないと難しいことだと思います。

 

奥野 そうですね。チームワーク的なところは、会社の組織としても同じです。

それぞれが部門ごとに分かれて働いているけど、会社として常にベクトルを合わせる必要があります。

サッカーの場合は、選手の方の個々の闘いもある中でチームワークを作るのってすごく大変でしょうね。

▼プロサッカー選手として長年活躍した石川さんから見て、選手の能力を引き出す監督(指導者)とはどんな人でしょうか?

石川 監督のミッションは、結果を残すことが優先されるので、選抜された11人だけを見る人もいるんですよ。でも、勝敗の鍵を握る11人だけじゃなくて、選ばれなかった選手にも目を向けてチーム全体を促して指導してくれる人が理想的だなと思います。

選手って孤独なので、自分が見られていないと思うとモチベーションも下がるし、そこから這い上がっていこうと思えないんです。でもちょっとした声掛けとか、自分のことを見てくれていると感じられると、自分でやるべきことが明確になって積み上げることができるようになる。

そこから這い上がった身としては特にそう感じますね。

 

 ▼奥野社長にとって「理想のリーダー」とは?

奥野 今は拠点ごとに責任者をおいて、ある程度は任せているのですが、意見交換はきちんとして、課題や問題点は改善していくようにしています。やはり、上司が部下を牽引する「リーダーシップ」と、部下が上司をフォローする「フォロワーシップ」この相互関係がうまくいかないと、サッカーと同じようにチームプレー、チームワークもうまくいかないと思っています。この二つを融合させるために必要なことを考えると、コミュニケーションに行き着きます。

そしてもう一つは、目標。みんなが同じ目標に向かっていくことで、コミュニケーションをとることができると思っているので、会社や部門ごとに目標を掲げることは大事ですね。その上で「報・連・相」を軸に信頼関係を生み出せるリーダーというのが理想的だと思っています。

一方的な叱責だけのリーダーや、自分の保身しか考えられない人は、信頼関係を築いていけないですからね。

▼人材育成で会社として意識されてることはありますか?

奥野 今は、特にハラスメントを意識しています。時代が変わってきたということもありますが、理由なく怒るのではなくて「指導」を念頭において受け取る側の立場を考えながら接するように心がけています。

良い、悪いだけではなく、その理由と次への対策を考えさせる様な問いかけをするようにしていますね。

 

石川 僕らの時代は、正直なところまだハラスメントがあった時代です。今は、コンプライアンス的な部分はクラブとしても、Jリーグとしてもしっかりと基準を設けて、ヘルプラインがあります。奥野社長が仰ったように、こちらはそう思っていなくても捉え方で変わってくるので、指導する側もしっかりと考えていかないといけないなと思いますね。認識のズレを防ぐために、コミュニケーションの機会は大切ですし、監督が選手やコーチに対して、選手がサポーターに対して、みんなそれぞれがリスペクトし合うという思いが大事になってくるのかなと思っています。

 

奥野 当社は、営業が基本的に東京都で、工場が富山県、熊本県なのでちょっと立地的な関係から、全社的なコミュニケーションを頻繁にとることは難しいですが、色々考えています。コロナ禍の期間には、従業員やその家族が自分の家庭で見られる動画配信などを試みましたが、実現は出来ませんでした。今後はそういった、みなさんが楽しめる形でのコミュニケーションの場も作っていければと思っています。

モノづくりによって世の中を良くしたい、誰かのために何かしたいという思いを持っている方は、一緒に充実感を味わい、ぜひ一緒に未来に向かって行きたいですね。

▼最後にお2人から若者にエールのお言葉をいただければと思います

石川 「無駄なことは一つもない」と思っていて、これが無駄なのかどうか、成功か失敗かって、その先の取り組みで変わるんですよね。

過去の出来事は変えられないけど、「今」自分でアクションを起こすこと、チャレンジすることで未来も変わる。過去の出来事は変わらないけど、捉え方を変えることができる。そういうマインドの人たちが増えてほしいなと思っています。こういう時代だからこう、自分がこうしてきたからこうなったっていう捉え方だけではなくて、捉え方によっていくらでも自分を変えることができるんです。

半導体を通じて、もっと先の物事が見えたり捉えられる、そういう感度の高い人が増えてほしいなと思います。

ない物を作り出す。不可能だったことが可能になるという、未来を想像しながら作る世界ってすごくワクワクするじゃないですか。モノづくりってそういう世界だと思うんですよね。目の前のことと向き合う職人的な部分と、これをやってる先ってこうだよねっていうワクワクする二つの面を持つ、こんな素敵なことはないと思うんです。

 アスリートとしても、未来を想像して世界を作っていく。今までにない世界を見れると思うだけでワクワクしてくるし、そういう世界にしたいなと思っています。同じ想いの若者が増えて、一緒の想いでやっていけるといいなと。

 

 奥野 私たちのモノづくりは、世の中にないモノを作り出すことです。

今まで出来なかった事を可能にするため、日々、情報収集や立案(プランニング)、アイデアを出しながら新しいモノの完成に向けて進んでいます。

完成までは容易でありませんが、ゴールに向かってその過程を楽しめるかどうかが大切です。

人生は一度きりです。

「やりたいけど出来ない」ではなく、そこに向かって一歩「前へ」進んでみませんか。

前進して、もし失敗しても、石川さんが仰ったように、その先ですよね。どうリカバリーして、どうフォローして行くかという過程が重要なのです。

夢や興味を憧れのままにしないで、どんなことも「前進あるのみ」です。

まずは一歩「前へ」踏み出して、一緒に挑戦しましょう。